愛犬と京都、大文字送り火の山々を望む、船岡山公園と建勲神社を散歩する

【愛犬とおでかけ】平安京ゆかりの地「船岡山公園」と信長公を祀る「建勲神社」を散歩する。

船岡山からの眺め

船岡山は京都市北区に位置する、標高約120m、東西約400mの丘陵で、その優美な姿が船の形に似ていることから、この名が付いたと言われています。京都市の都市公園「船岡山公園」および織田信長公を祀る「建勲神社」として整備されていて、頂上付近からは眺望もよく、京都市街地はもちろん鳥居形以外の送り火の山々も望めるため、五山の送り火の日は大勢の人で賑わう人気スポットにもなっています。
今回は国の史跡にも指定されている、この船岡山を散歩してみました。

いにしえの

船岡山公園 石段
船岡山は一説には、平安京造営の際に、都の中央を南北に走る朱雀大路の基点となったとも言われ、『枕草子』でも清少納言によって「岡は船岡」として讃えられ、平安時代には数々の祭祀が催され、また遊学の場ともなり、人々の生活に密着していました(京都市の船岡山案内板より一部抜粋)。また、応仁の乱(1467~1477年)の際に、西軍の大内政弘や山名教之らが船岡山城を築城して立て籠もり、後にこの一帯を「西陣」と呼ぶようになったことでも有名です。
左側に続く石垣は見るからに古くからのもののようですが、果たしていつ頃築かれたものでしょうか。

都市公園として

船岡山公園 広場と遊具
船岡山は標高は約120mとさほど高くはなく、「小高い丘」と言ったほうが相応しいかも知れませんが、山内に入るには、やはり少し坂道を登る必要があります。石段を登るとやがて広場や遊具を備えた、「公園」が見えてきます。
船岡山公園 キャッチボール
広場にはキャッチボールを楽しむ少年の姿もありました。この運動場の山手にあたる場所には、屋外ステージのような施設もあり、ちょっとしたコンサートなら開催できそうです。

ラジオ塔

船岡山公園 木立の中のラジオ塔
ラジオ塔は、昭和5年(1930年)頃から太平洋戦争中にかけて、全国で300基以上建造され、当時はたくさんの人が集まり、この塔から流れるラジオ放送を聞いたり、体操をしたりしていました。広場を見下ろす一段高い場所に、この古びた石造りの塔が、木立ちの中に隠れるように佇んでいます。役目を終えて久しいこの塔ですが、戦前、戦中を経て、戦後そして令和の今をこの場所でずっと見つめてきたのですね。

山中にて

船岡山 山中(空堀)
山中を散策していると、溝のような場所に溜まった水が、木々や木漏れ日の様子を鏡のように映し出している、まるで絵画のような風景に出会いました。思わず何枚かシャッターを切ったのですが、後に調べてみると、この溝は船岡山城の空堀(からほり)だったようなのです。空堀とは、敵が城へ攻め入ったり、動物が中へ侵入したりするのを防ぐ目的で造られていたもので、戦国時代までの中世の城における堀は、中に水を入れていない空堀が主流だったようです。ほとんど残っていない、船岡山城の遺跡にたまたま巡り会えたのは幸運でした。
船岡山 木立のなか
鬱蒼と茂る木々の中を進みます。振り返ると緑のシャワーが降り注いでいました。

建勲神社

建勲神社 石段下
建勲神社は、「けんくん」神社として知られていますが、これはあくまで通称であり「たけいさお」神社が正しい名称とのことです。
戦国時代にあって、天下統一、朝儀(朝廷の儀式の総称)復興などを進めた、織田信長公の偉勲を称えるため、明治2年(1869年)に明治天皇により創建された神社です。本能寺の変の後、豊臣秀吉が正親町(おうぎまち)天皇の勅許を受け、この船岡山をかつての主君である信長公の廟所と定めています。
建勲神社 境内
ケージに入れた状態であれば、愛犬と一緒に参拝が可能とのことです。
建勲神社 手水舎
手水舎では、風鈴が涼し気な音色を聞かせてくれていました。
船岡山 山中(若葉)
参拝を終えて、山を下りていく途中で見かけた赤い若葉がとても印象的でした。取材したのは6月初旬で梅雨時の前だったのですが、今頃は夏の日差しをいっぱいに浴びてもっと大きく成長していることでしょう。
平安時代には大宮人に愛され、後には戦乱の地ともなり、時を経て今は多くの市民の憩いの場所として親しまれている「船岡山公園」と、戦国時代を駆け抜けて日本の歴史に今もなおその名を轟かせている織田信長公を祀る「建勲神社」を散歩してみました。以前取材した吉田山と同様に、この船岡山の良さや面白さはあまり知られていないような気がします(私のその一人でしたけど)が、どう思われますか?
今後も愛犬と一緒に散歩できる、素敵な場所や面白いスポットを紹介してまいります。次回の記事もどうかお楽しみに!

 

船岡山:京都府京都市北区紫野北舟岡町
最寄駅:
京都市バス 船岡山バス停 徒歩約1分(約110 m)
※建勲神社にお詣りする場合、表参道からは急な石段が続きます。京都市バス船岡山バス停から北参道を利用されれば、歩く距離は長くなりますが、坂道は比較的緩やかになります。

関連記事

  1. 鞍馬駅前の大天狗モニュメント

    愛犬と京都、鞍馬寺を散歩する

  2. 愛犬と京都、緋色に色づく山寺「西明寺」を散歩する

  3. 貴船神社

    愛犬と京都、貴船を散歩する

  4. 堀川紫明イチョウ並木

    愛犬と京都、黄葉のイチョウ並木を散歩する

  5. 護王神社 猪像

    愛犬と京都、足腰の守護神「護王神社」を散歩する 

  6. 鴨川デルタ(木漏れ日)

    愛犬と京都、眩しい陽射しの中、鴨川公園・葵公園を散歩する