【愛犬とおでかけ】昔ながらの豊かな自然に囲まれた京の山里、大原・三千院あたりで去りゆく夏を楽しむ。
大原は京都市左京区の北東部、比叡山の北西の麓に位置し、四方を山に囲まれた静かな山里です。平安時代から、都と若狭湾とを結ぶ若狭街道の中継地として栄え、また木材や薪炭の産地としても重要視されてきました。後には戦乱や政争による京都からの脱出のルートとしても用いられ、出家・隠遁の地としても古くから知られた里でしたが、現代では三千院や寂光院などを訪ねる人々で賑わう京都の観光名所のひとつとなっています。
今回は、夏の終わりの大原・三千院あたりを散歩してみました。
※三千院は、犬と一緒に拝観することはできませんのでご注意ください。また、参道も時期によっては多くの観光客や参拝客で賑わいますので、十分ご注意のうえ、ルールやマナーを守って散歩を楽しんでください。
川の流れに沿って
大原のバス停を降りて、三千院へ向かう参道を進みます。1965年（昭和40年）のヒット曲「女ひとり」の歌碑を過ぎると、呂川沿いの道は少しずつ斜度を増していきます。途中には工芸雑貨のお店やお漬物屋さんがお店を構えておられるのですが、暑さを避けたくて早朝に取材したためかまだ開店前でした。
観光客もまだほとんどおられない時間帯だったので、川のせせらぎの音が心地よく聞こえてきます。
道端に咲く、この花は秋海棠（シュウカイドウ）というのだそうです。調べてみると、なんと松尾芭蕉も「秋海棠 西瓜の色に 咲きにけり」と、詠んでいました。
見渡す限り大原の里
途中にある朝霧橋の右手に「見渡す限り大原の里」との看板があるので、橋を渡って指し示す方向に行ってみると、林を抜けた小高い丘のあたりから、水田の向こうに広がるのどかな山里の風景を一望することができました。なんだか、ずっと眺めていたくなるような、心休まる眺めですね。
参道に戻ると橋のたもとに、苔むしたつくばいが設えてありました。
三千院
さらに道をすすむと、三千院門前に至る石段が見えてきます。
三千院は延暦年間（782‐806）に伝教大師最澄が比叡山東塔南谷（とうとうみなみだに）の山梨の大木の下に一宇を構えたことに始まります。
その後、慈覚大師円仁に引き継がれ、最雲法親王入室により、平安後期以降、皇子皇族が住持する宮門跡となりました。
寺地は時代の流れの中で、比叡山内から近江坂本、そして洛中を火災や応仁の乱などにより幾度か移転し、その都度、寺名も円融房、梨本坊、梨本門跡、梶井宮と呼称されてきました。
明治４年、法親王還俗にともない、梶井御殿内の持仏堂に掲げられていた霊元天皇御宸筆の勅額により、三千院と称されるようになりました。
明治維新後、現在の地大原に移り「三千院」として1200年の歴史を紡いでいます。（三千院ホームページより転載）
冒頭でお伝えしたように、三千院は犬と一緒に参拝することはできませんが、門前までなら大丈夫。この日もワンコとの散歩を楽しむ人の姿を見かけました。
里山の風景
三千院の門前から少し山を下って、里の道を進むと、大原の名産品として有名な「しば漬」の材料に欠かせない「赤しそ」の畑がありました。
しその独特の香りは、ペリルアルデヒドという香気成分によるもので、強い防腐・殺菌作用があり、また抗酸化作用が期待されるβ-カロテンの含有量が緑黄色野菜の中でもトップクラスに高いことから、アンチエイジングにも役立つとされ、さらにビタミンC、鉄分、カルシウムが豊富で、貧血予防、精神安定作用、健胃作用などさまざまな効能があると言われています。
三千院の脇を流れる律川に反射する朝の陽の光と、鮮やかな木々の緑が眩しいです。
観光名所のすぐ近くでも、里山の日常は今日も続いています。
ふたたび、三千院門前より
平安の頃からの長い歴史を重ねてきた古刹、まるで時がゆっくりと流れているかのような田園風景や蛍が舞う清流、そして四季折々の彩りを見せてくれる花たちに心癒やされる自然豊かな里、大原。案外、京都市内からのアクセスも良好で、京都駅からでも地下鉄とバスを乗り継いで50分程度、車なら30分ほどで、こののどかな空間へとトリップできます。
秋には紅葉も存分に楽しめますので、ぜひ一度愛犬と一緒に訪れてみてください。
京のシッポでは、今後も愛犬と一緒に散歩できる、素敵な場所や面白いスポットを紹介してまいります。次回の記事もどうかお楽しみに！
| 三千院：京都府京都市左京区大原来迎院町 |
| 最寄駅： 京都バス 大原バス停 徒歩約11分（約650 m） |
ちょっと寄り道、おすすめショップ
コーヒースタンド聖（ひじり） <京都市左京区大原来迎院町387-2>
三千院参道入口にあるテイクアウト専門コーヒースタンド。オリジナルブレンドや月替わりの厳選スペシャリティコーヒーのほか、京都大原特産の赤紫蘇を使用したドリンクも人気です。
このお店では、取材を終えたあとに美味しいアイスコーヒーをいただきました。
