愛犬と京都、晩秋の堀川(一条戻り橋~二条城)を散歩する

【愛犬とおでかけ】歴史と近代化の息吹を感じながら、堀川(一条戻り橋から二条城まで)を散策。

堀川今出川交差点
京都堀川の散策路
【愛犬と京都、黄葉のイチョウ並木を散歩する】でご紹介した堀川通りをさらに南に進むと、この付近では暗渠(あんきょ)となっていた堀川が再びその流れを現します。
今回はこの堀川の流れに沿って整備された、今出川通りの交差点を少し下がった元誓願寺通から堀川御池の二条城あたりまでの散策路を散歩してみました。
※「市電の記憶」の追加記事を掲載しました。(2023年9月24日)

都会の中を流れる小川

流れを現した堀川の様子
堀川は京都市のほぼ中央を北から南に流れる川で、平安京造営時に運河として開削された約1200年の歴史を持ちます。
平安時代には北山連峰などの木材資源の運搬に利用され、また川のほとりにあった貴族たちのお屋敷、堀川院や冷泉院、高陽院などが邸内に清流を引き入れ庭園を潤していたといわれています。
今出川通りのすぐ南あたりから、しばらく暗渠となっていた堀川が姿を現します。ここが都会の真ん中であるとは思えない、まるで郊外の森の中を流れる小川の趣が感じられる風景です。

蘇り伝説の橋「一条戻橋」

堀川 一条戻り橋
「あの世」と「この世」をつなぐ橋と言われる一条戻橋(いちじょうもどりばし)が見えてきました。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明(あべのせいめい)の父である保名はこの場所で殺害されましたが、晴明が呪法を駆使して保名を蘇生させたと言われています。
その他にも数々の伝説を持つ一条戻橋ですが、現在の橋は平成7年に新築されたものです。

「憩い」と「やすらぎ」の水辺

京都堀川の散策路
京都堀川
一条戻橋を過ぎると川幅も広がり、明るく開放的な水辺の公園が現れます。
かつての堀川の豊かな流れは、伝統産業の友禅染の水洗いに利用されたり、農業用水としても活用されるなど、京都の人々の生活と密接なつながりを持っていました。
ところが昭和に入ってからは度重なる浸水被害が発生したため、昭和20~30年代の浸水対策事業により水源が断たれ、普段は水がないコンクリートで底張りされた水路となっていました。
この堀川に清流を蘇らせようという市民の願いは平成21年3月に実現し、今では「憩い」と「やすらぎ」の空間として、市民に親しまれています。

堀川第一橋(中立売橋)

京都市指定有形文化財「堀川第一橋」
「洛中洛外図屏風」には、後水尾天皇が二条城への行幸の際に中立売橋を渡られる様子が描かれています。御所と二条城を結ぶ道筋に架かる重要な橋であったこの橋は、明治6年に石造りの橋に架け替えられ、「堀川第一橋」と名付けられました。
堀川第一橋は伝統的な和風意匠を踏襲し、その構造は石工の伝統技術により造られた全国的にも数少ない真円のアーチ橋であり、近代橋梁史上の価値も高く、京都市有形文化財にも指定されています。

市電の記憶

上流に堀川第一橋を望む
明治28年2月、わが国最初の電気鉄道が京都の街を走りました。同年9月、堀川線(通称:北野線)が東堀川通りに開通し、その後路線と乗客数を延ばして市民に親しまれましたが、昭和36年7月末、自動車の普及などによる利用者の減少により惜しまれつつ廃線となりました。
写真の奥に映る堀川第一橋の手前に、かつて市電がこの川を渡っていたことを示す遺構があるようなのですが、残念ながら今回の取材では見落としてしまいました。近いうちに再度取材したいと思っています。

市電の記憶(続編)

堀川 市電遺構2
市電堀川線の堀川橋梁の遺構です。周囲の石垣とは異なる、レンガ造りの橋台跡が見てとれると思います。この写真の右側(堀川東岸)から左側へ橋が架かっていたのですね。
堀川 市電遺構1
東堀川通りから、見下ろすように撮影してみました。斜めに配置された飛び石のようなものが、かつての軌道を表しています。堀川線は京都駅から北野天満宮までを結んでいたのですが、もし今でも存続していたら、結構便利な路線だったのでは?と思います。
堀川 市電遺構3
「近いうちに」と、言いながら元記事からなんと4年近くも経ってからの取材となりました(笑)。どうかご容赦ください。(2023年9月24日更新)

石垣に刻まれた歴史

二条城付近の石垣
写真の右側(西側)の石垣は、二条城築城に伴って慶長8年(1603)頃に築かれたもので、昭和14年(1939)に二条城とともに国の史跡に指定されています。
左側の石垣とは積み方が全く異なることが一目見てわかりますね。
石垣の石には、工事に関わった大名たちがその持ち分の石であることを表示するための刻印を刻んでいるものもあり、歴史の重みを感じることができます。

再び暗渠となる・・・二条城付近

二条城
江戸幕府の第15代将軍、徳川慶喜が大政奉還を行った二条城。
その東大手門が雄姿を見せる御池通りの手前で、堀川は再び暗渠となり堀川通りの下を流れて行きます。ずっと下流にある、やがて鴨川と合流するすぐ手前の地点までその姿を見せることはありません。
観光客で賑わう二条城の外周はわんこの散歩はもちろん、ジョギングコースとしても親しまれていて、最近では色とりどりのウェアで駆け抜けるレディスランナーもよく見かけますよ。
一条戻り橋:京都市上京区一条通19丁目
最寄駅:地下鉄烏丸線 今出川駅 徒歩約7分(750mm)
元離宮二条城:京都市中京区二条城町541
※二条城へはワンコ同伴の入城は出来ません。
最寄駅:
地下鉄東西線 二条城前スグ
JR 二条駅 徒歩約13分(約1km)

ちょっと寄り道、おすすめショップ

京菓匠 鶴屋吉信 本店〈京都市上京区今出川通堀川西入〉

1803年(享和3年)に創業した、銘菓「京観世」「柚餅」で有名な老舗菓匠の鶴屋吉信さん。織物の街である、西陣・堀川今出川の交差点北西にあります。
伝統的な京菓子ばかりではなく、その枠に留まらない斬新な発想で常に「良き」お菓子を創作されています。
京の伝統建築である「町家」の様式を生かし、数寄屋建築の粋を採り入れて造られた本店の佇まいも必見です。

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