【愛犬とおでかけ】いのしし伝説が伝わる、平安京ゆかりの神社「護王神社」を散歩する。
護王神社(ごおうじんじゃ)は、京都市上京区の京都御苑のすぐ西側にある神社で、市内を南北に貫く主要道路である烏丸通りに面しています。境内は決して広くはないのですが、平安京の誕生に貢献したと伝えられる和気清麻呂(わけのきよまろ)公を御祭神とし、いのししにまつわる伝説も伝わる、とても興味深い神社です。今回はこの護王神社を散歩してみました。
※護王神社では、愛犬はキャリーケースやバッグ等に入れてあげてください。地面に足を付けなければ拝観可能とのことです。
足腰の守護神
狛犬ならぬ「狛いのしし」によって護られた、護王神社の鳥居をくぐると、すぐ前の表門に掲げられた「足腰御守」と書かれた大きな御守りが目を引きます。
奈良時代の末、当時の実力者・弓削道鏡は偽のご神託によって、天皇の位を我が物にしようとしたのですが、これを阻止した清麻呂公は、道鏡の恨みを買い、足の腱を切られた上に九州の山奥に流刑となってしまいます。さらに九州へ下る途中に道鏡の刺客に襲われるのですが、その時突然山の中から現れた300頭ものいのししが清麻呂公を守って道案内し、その後、傷ついた清麻呂公の足も不思議と治り、立って歩くことができるようになったと伝えられています。この故事により、護王神社は足腰の守護神として広く崇敬され、そのご利益を求めて、足腰の悩みを持った方が老若男女を問わず全国から参拝に来られるとのことです。
境内の様子
境内に入ると、すぐ右手にある手水舎では、かわいい子いのししたちが出迎えてくれます。
立派な拝殿と、写真の左奥には中門の向こうに本殿が見えます。
いのししにゆかりの深い神社として、このように多くのいのししにまつわるコレクションも展示されています。
飛翔親子猪
祈願殿の南には、この地にあってやむなく伐採された桂の根株を使って、チェーンソーアート作家である城所ケイジ氏によって製作された「飛翔親子猪」の彫刻が飾られています。翼の生えた神いのししが子いのししを守る様子とのことなのですが、アップで見るとすごい迫力です。
歌碑とカリンの木
表門の北側には、樹齢100年以上といわれるカリンの巨木がそびえ立っています。この木は京都の名樹百選にも選ばれていて、秋には甘い香りの黄色い大きな実をつけるのだそうです。
そのすぐ脇には、歌人吉井勇の歌碑がありました。吉井勇の歌集「残夢」には、カリンを詠んだ歌が三首収めらていて、これらの歌に縁を感じて、カリンの歌が刻まれた吉井勇歌碑が立てられたとのことです。
さて、流罪となった和気清麻呂公ですが、その後はどうなったのでしょうか。
九州に流された1年後、道鏡が失脚すると清麻呂公は都への帰還を果たします。
そして、豊前守、摂津大夫を歴任するなど、めざましい活躍をされ、さらに、桓武天皇がすすめる長岡京の都造りが難航する中、淀川上流の葛野の地に新たに都を造営することを進言されました。天皇はこれを聞き入れ、ここに新しい都を造営し遷都されます。これが以後千年の都となる平安京、現在の京都なのです。清麻呂公は造宮大夫として、平安建都にも力を尽くされたのでした。
今回の散歩スポット、護王神社は決して有名な神社ではないかも知れませんが、市内のほぼ中央にある京都御苑のすぐ西隣りという好立地にありますし、ぜひ一度愛犬と一緒に訪れてみてください。
京のシッポでは、今後も愛犬と一緒に散歩できる、素敵な場所や面白いスポットを紹介してまいります。次回の記事もどうかお楽しみに!
護王神社:京都府京都市上京区烏丸通下長者町下ル |
最寄駅: 地下鉄丸太町駅 下車徒歩約7分(500m) |
護王神社のホームページへ |